玉川上水との出会い
今から遡るほど20年。村上龍とみうらじゅんフリークだった私は両氏が通っていた武蔵野美術大学を見たいと思いたった。当時住んでいた街から玉川上水駅に降り立った。当初は西武拝島線東大和市駅で降りてムサビまで向かう予定だったと思うのだけど玉川上水駅で電車を降りた。おそらく電車賃をケチりたかっただけかもしれないし、初めて利用する駅だったから周辺を散策してみたい気持ちだったのかもしれない。いずれにせよ、とにかく私は玉川上水駅で降りたのだ。そして玉川上水駅の階段を降りると水面がキラキラした綺麗な川が視界に入ってきた。そして川の両端には気持ち良さげな緑道があった。それが玉川上水との出会いだった。私は吸い込まれるように緑道を歩き始めると、木漏れ日や緑、土、水が作り出す不思議な空間の中を時を忘れたように歩き続け、結局武蔵野美術大学付近まで辿りついてしまっていた。そして歩ききった後は、ただただ清々しい気持ちだけが私を包み込んでいた。
玉川上水の歴史
玉川上水は、江戸時代の前期1653年に多摩川の羽村から四谷までの高低差92.3mの間に全長42.74kmの上水道です。開削の指揮を取ったのは、羽村取水堰に銅像がある玉川兄弟。玉川兄弟は1653年の正月に幕府より工事実施の命が下り、同年4月4日に着工し、そのおよそ8ヶ月後に羽村ー大木戸間を開通させたという。実際、玉川上水沿いを走った上での感想だけれど、この距離の水路を本当に8ヶ月で掘れたなら当時の土木技術の水準が想像以上に高いのと、多くの人々が駆り出されたのだろうと思います。また加えて玉川兄弟が優秀な管理者兼モチベーターであったのだと勝手に想像してしまいます。
羽村から四谷までの標高差がおよそ100mとあまりなかったため、当時の土木技術などを考えてみても引水工事は大変だったことは想像に難くありません。水喰土(浸透性の高い関東ローム層)や岩盤にあたり流路変更を余儀なくされ現在の流路になった箇所もあるようです(水喰土公園にその跡があります)。
四谷大木戸
新宿通りの四谷四丁目交差点付近に水道碑記や水番所跡がある。ここまで多摩川の水が流れてきた後に埋設された石樋・木樋を通して江戸市中各地へと配水されていたらしい。新宿御苑の大木戸門付近からはかつての流路に沿った全長540mの散歩道がある。新宿御苑内は撮影不可の看板があったためそれらの写真は撮れず。
新宿駅近辺
新宿駅近辺の流路は地下に保全された状態であり、完全に暗渠化されているので橋跡を辿っていく。葵橋跡は西新宿一丁目交差点のマクドナルドの裏手の葵通り(地下の京王線上の道路)沿いにある。葵通りをそのまま進み千駄ヶ谷橋付近から玉川上水の旧水路緑道を抜けると玉川上水暗渠をモチーフとして、当時の煉瓦を使用し原寸大で再現したもののよう。
玉川上水旧水路緑道(代々木緑道/初台緑道)
先述したように、玉川上水は笹塚駅近辺までは暗渠化されている。そのエリアの大半は玉川上水旧水路緑道として整備されている。天神橋から三次橋間は代々木緑道、三次橋から代右衛門橋までは初台緑道となる。またこの辺りまで地下には京王線が走っている。
玉川上水旧水路緑道(西原緑道)
代右衛門橋から代々幡橋跡の区間は西原緑道と呼ばれる。
玉川上水旧水路緑道(幡ヶ谷緑道/大山緑道)
代々幡橋跡から常盤橋の区間が幡ヶ谷緑道。常盤橋から北澤橋跡の区間が大山緑道となる。また北澤橋は中野通りとの交点となる。
玉川上水の最下流開渠部分
中野通りを越え玉川上水第二緑道を越えると笹塚橋で突然玉川上水が姿が現れる。かつては三田用水の取水口があったらしい。またここが地上で見れる玉川上水の最下流ポイントだろう。さらに進むと笹塚駅。駅付近の南ドンドン橋跡の撮影を失念。
笹塚駅付近と玉川上水緑道
笹塚駅近辺の第二号橋から稲荷橋付近まで再び開渠となる。その先は玉川上水緑道となり大原橋で環七とぶつかる。環七は地下道でくぐり赤煉瓦のアーチ橋「ゆずり橋」が現れる。和田堀給水所からの配水管が通っているようで、かつては「玉川上水第一号橋」と呼ばれた橋。老朽化に伴い橋を掛け替えた際、橋名を公募し「ゆずり橋」となったらしい。由来としては、掛け替える前のこの橋は幅が狭く譲り合って橋を渡っていたためとのこと。
甲州街道(和泉水圧調整所付近)
京王線の鉄道橋をくぐると甲州街道が現れる。かつて和泉給水所で淀橋浄水場に向けて「新上水」が開削されていた(甲州街道の北側を並行するように走る道路)。
下高井戸永泉寺緑地/杉並区玉川上水第三公園
東八道路(上北沢駅から浅間橋間)
緑道は東八道路にぶつかりなくなる。玉川上水はここから浅間橋まで東八道路の下を流れています。途中の橋に因んだ名前を冠した歩道橋に玉川上水の面影を感じられる。
浅間橋
東八道路上部の東名高速が南に逸れていく。このあたりから玉川上水は開渠区間となる。この浅間橋から玉川上水駅付近の小平監視所までは東京都の清流復活事業により処理水が流れている区間となる。
最後に
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